床屋さんの今後


大前研一さんが1975年に書いた「企業参謀」という本を最近読んだ。
1975年当時の床屋さん業界とそのサービスについて、以下のように書かれていた。

「一般的な理容店のサービスは、お客が自分でできることや、その日風呂に入れば消えてしまうものが70%を占めている。
70%の作業を省いてもよいという顧客もかなりいるはずで、そのような顧客に安くサービスできれば、儲かるはずだ。
この業界は職業組合の結束が強く、簡単に自分の所だけサービスや料金を変えることは容易ではないが、このように人為的に価格統制された分野では、大きな市場ポテンシャルが存在し、儲けられる賢い経営者にとっては、旨みのある市場なのだ。」

確かに30年前の指摘にしては非常によく業界の未来を予測していたといえる。
価格破壊が進む最近のデフレ社会では、床屋さん業界も例外ではなく、さすがに30年前のやり方は通用しなくなりつつあるのは事実だろう。
従来の半額以下でサービスを提供する格安店が登場し、確かに安くなった。

さて著者は、無駄な70%を省けば良いのではないかとの指摘だったのだが、今の現状でちょっと違うかなと思えることは、かつて40〜50分かかっていたサービスをギュッと15分ほどの中に、むりやり押し込んでさあ千数百円です安いでしょと主張しているように感じることだ。

私も2,3年ほど前から安い店に行くようになっている。カットだけなら1700円だ。

私は決して安い店が好きなわけではない。
それではなぜ行くかというと、単に安いからである。
というか私の身だしなみを最低限維持するためには、4000円も払うは必要はないと消去法で消極的に判断しているのだ。
(かつてのマッサージや、丁寧なシャンプーを懐かしむときもあるは確かだが。)

だから安い店にも決して満足はしていない。
なぜなら以下のような事があるからだ。

1.ものすごい速さで顔をそられるため、怖くて体を硬くする必要がある。
2.鏡の下の物置スペースにはベビーパウダーが白く積もっているにもかかわらず、

その上に次に顔に載せるための蒸しタオルを置くケースを頻繁に目撃する。
3.頭を洗う洗髪台の周りは前の人の髪の毛がいっぱいついている。
4.髭剃りの石鹸の温度を確認せずに、顔に塗られ、やけどしたことがある。
5.シャンプーを頼んでも、頭を2,3回なでられた後、すぐにすすぎに入る。
ただ流れていくだけのシャンプーが無駄であり、まったく気持ちよいとか感じること
もない。
6.さらに、頭を洗った後に、自分で顔を洗えといわれる。
(実際に言ったことは無いが、人の顔を汚したのはあなたでしょといいたくなる。
頭は洗っても顔はサービス外ということか?
頭をぬらしたまま、中腰で前かがみの姿勢で洗髪台に顔を近づけ、顔を洗う姿勢を創造するとわびしい気持ちがこみ上げてくる。なによりこの体勢は腰に悪いのだ。)
手術された後に、悪い部分は取ったから傷口を縫うのは自分でしなさいと突き放されたようなものだと私は思うのだが、そんな考えは変だろうか。
歯医者さんでは、「お口ゆすいでください。」といわれるのはどうなんだ言われるとちょっと自信はなくなるが、私の主張は間違っているだろうか?

ちなみに最近はシャンプーは断る様にしている。(300円で高いから。)

日本の床屋さんは人件費が高いのに、顧客が無駄と思えるサービスにお金を払わされていうことが大前氏の指摘であり、決して全体的に手を抜くことに話はつながらないはずだ。
つまり、利用者もうれしく、かつ儲ける手段は他にもあるのではないだろうか?

他に当てがあるわけではないので、しばらく文句を言いながらも、今の店に行かざるを得ない私であるが、何とかならいかと思いたくもなる。
早く統制された状況から脱して、カットだけは中程度に丁寧にやる店、シャンプーは別料金でそれなりに丁寧にやる店、マッサージに超気合を入れる店など出てきてくれることを期待したい。

おわり

(2004.5.20)