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よそのお婆さんとの生活−その2 <エピソード2> 幻の高級メロン 以上のような戦いを繰り広げてはいたが、お婆さんは私にいろいろな食べ物を与えてくれたことは、東京に一人でいる私とって少し有り難かった。しかし本当に気持ちは有り難かったが、それらのほとんど、口に合わないあるいは口に出来ないものばかりだった。(断っておくが私は好き嫌いはまったくない。) お婆さんは、いつも何か用事があると、階段の登り口まで来て、「ちょっとー」と私を呼ぶのであった。しかし私を呼ぶ時は大抵何か文句がある時が多かったので、呼ばれるとドキッとするのであった。 ある時、いつものように一階から私を呼ぶ声がした。 私はこの時、絶対に冗談だろうと思った。でも冗談ではなさそうである。私は後で飲みますといってとりあえず、それを受け取った。もちろん後で捨てた。その液体がなぜ黒ずんでいたかは謎である。 ※冷静に考えると、嫌がらせを受けていたとも考えられなくもないが、私が喜ぶと思っての行為だと思う。
ある日私が学校から帰ると、お婆さんがたまたま台所にいて立ち話になった。私の部屋は台所を通らないと、行けないのである。だから、夕方など早く帰ると、お婆さんと顔を合わす機会は比較的多かった。 「わたしね、パイナップルが好きなのよ。」 それから数時間後、お婆さんが下から私を呼ぶ声がした。 「実はねパイナップルを煮てみたの。私はもういいからあなた食べない?」 それは明らかに先ほど捨てるといっていたものだ。
私も年寄りに育てられたようなものなので、お年寄りと話をするのは嫌いではなかった。ほとんど私は聞き役なのだが、週末など2,3時間聞く時もあった。大概は何人かいる彼女の息子がいかに優秀かという話がほとんどで、新しい話題は少なく、ほとんど聞いたことのある話ばかりであった。 しかしある時私の知らない話が始まった。どうも知り合いのAさんが家を訪ねて来たような話である。Aさんは、ある日スイカをお土産にお婆さんを訪ねて来たそうである。そのスイカは甘くてとても美味しかったという話であった。そのスイカがある店の袋に入っていた等、かなり詳しい内容であった。最近誰かがこの家を訪ねた話なのだろうと私は思った。 一通り話しを聞いたあと、私は質問した。 「何でですか?」 彼女は、その後また関東大震災の時がいかに大変だったかを語り始めた。 私は、その後の話はほとんど耳に入らなかった。一度きいた話ではあったが、あまりに壮大な時間スケールに感動がしばらく続いたからでもあった。関東大震災以前の出来事を、どう考えても2、3日前の話のように、なぜ私に語る必要があったのか理解できなかったが、とにかくスターウォーズとまではいわないが、壮大な時間スケールのドラマに心躍らされる思いだったのである。
(2002.8.31)
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