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新幹線と水戸黄門を尊敬する(最終話) <最終日・家までの道のり> 今日中にゴールしたかったので、まだあたりが暗いうち(4時半位)に歩き始めた。ここから先、小さなアップダウンを含む丘陵地が続く。私はこの日5つの峠を越えることになる。朝から60km以上は歩いただろう。さすがに家の近くで野宿する気にはなれなかったので、結構つらかったが暗くなっても歩き続け、何とか家にたどり着くことができたのである。 <家族の歓迎> 何はともあれ、無事たどりつけたこと、まともな食事にありつけたことはうれしいことだった。私は今日のメニューは何だろうという感じで、家族のそばに近寄った。しかし、食卓に2m位に迫ったところで、家族は異変に気づいたようだった。次の瞬間家族のそれぞれから次のような言葉が発せられた。 「臭い。」「近寄るな。」「まず風呂行け。」 長い旅のせいかどうも感覚が麻痺していたかも知れない。苗場の近くの清流で体を清めたつもりだったが、かなりのレベルの匂いを発していたらしい。 <ルール違反> といろいろ考えさせられる状況だったが、とりあえず朝の段階で、今日は休養日にして、旅を振り返りながらゆっくり休もうと決めた。そう思った矢先、衝撃的な事実が発覚した。私はこの旅の簡単な記録を手帳につけていたのだが、それが見当たらないのである。 かすかな記憶をたどった結果、道路のガードレールの外側で休んだ時に忘れてきた可能性が高いことが判明した。旅の記録も書いてあったし、各種の重要情報を含んだ大切な手帳であった。 またまた私は思った。「水戸黄門が忘れ物をしたら、助さんか角さんが取りに行くのかも知れないが、当然歩きとなる。私が忘れものをしたところは、遡ること一日半前の地点である。往復する必要があると3日の遅れとなってしまうのである。弥七やお銀もしくは飛猿に頼めばもうちょっと早いかもしれないが、本人しか分からない場所に忘れてきた場合は、本人が行くしかない。」私はことの重大さに、心が押し潰されそうになるのだった。 一体どうしたらいいのだ? 2時間後、私はその場所に立っていた。私の予想した場所に手帳はあった。私はほとんど歩けない状態だったが、自動車は何の問題もなく私を目的地まで運んだ。われながらかなり虚しい行為をしたものである。死ぬほど苦しい思いをして移動した道のりを、翌日車で戻ったのである。それも一日分を約一時間で。さらにこれは明らかにルール違反である。最後の最後に天国の黄門様から、「ずるいじゃないか。」と言われそうな行為である。しかし歩いてとりに行く気にはどうしてもなれなかった。 <良かったこと> <終わりに> (2002.4.4)
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